単身赴任をした場合の住宅ローン控除はどうなる?
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さて、マイホームも購入し、これから楽しい生活が始まるな!!っと思っていた矢先、突然の転勤の辞令!家族会議の結果、マイホームも買ったことだし、単身赴任して来なさいと家族の押し出しを食らう羽目に!!そんな単身赴任者も決して少なく無いと思います。と、いうよりも私がそうでした。マイホームに住んだ期間わずか3ヶ月・・・
でも、マイホームのローンの契約者が単身赴任すると住宅ローン控除(住宅ローン減税:住宅借入金等特別控除)はどうなるんだろう?
そこで今回は、確定申告がそろそろ始まり、住宅ローン控除を受けるうえで一年目は確定申告が必要なこともあるので、単身赴任者の住宅ローン控除について書きたいと思います。今回の記事は結構な長文ですので、「4.まとめ」にて表に整理してますので、全部目を通すのが面倒な方は、該当する部分をそちらで確認頂ければと思います。
一番上にもまとめを持ってきて確認しやすくしましたので、該当する部分をご確認ください。(2016.6.21修正)
4.まとめ(一番下にもほぼ同じ記載があります。)
住宅ローン控除については非常にややこしい内容のため、記載内容を信じ込まず、必ず一度は税務署にご相談ください。
下表は、住宅ローン控除の適用が受けれるかどうかの一覧です。
ご自身に該当する章を見て頂ければ、全部読まなくても手っ取り早くわかります。
※住宅の取得者(住宅所有の名義人) = 転勤者 の前提で書いております。
- 4.まとめ(一番下にもほぼ同じ記載があります。)
- 1.国内単身赴任の場合、住宅ローン控除は受けれる!
- 2.家族全員で国内転勤した場合は、住宅ローン控除はNG
- 3.海外へ単身赴任の場合は、住宅ローン控除はNG
- 4.まとめ
1.国内単身赴任の場合、住宅ローン控除は受けれる!
国内の単身赴任の場合では、住宅ローン控除を受けるためには、条件があります。
(控除OK)
家族がマイホームに引き続き住んでいるならば、住宅ローン控除を受けることができます。
(控除NG)
家族がマイホームに住み続けていないと控除は受けられません。
理由は次の通りです。
「居住者が、住宅ローン等を利用して居住用家屋の新築もしくは取得または増改築等をした日から6カ月以内にその者の居住の用に供し(=入居し)、かつ、その年の12月31日まで引き続きその者の居住の用に供していること」という決まりがあり、単身赴任した場合には、原則として、生計を一にする親族が引き続き居住している場合には、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の適用を受けることができます。
1-1.住民票を移した場合はどうなの
住民票を移動しても控除は問題無く受けることができます。転勤期間中も所有者本人が住んでいるものとして扱ってくれるからです。住民票は移動しても、しなくても住宅ローン控除の額は変わりません。また、適用期間が短縮される心配もありません。
詳しくは「単身赴任が決定!住民票は移すべきか?」をご覧ください。
2.家族全員で国内転勤した場合は、住宅ローン控除はNG
転勤などで転居してしまった場合は、家族がマイホームに住み続けていない(先ほど書いた(控除NG)の内容になります)ので、その後の住宅ローン控除は受けられなくなります。第三者に賃貸に出しても住宅ローン控除は受けられません。
2-1.ただし二世帯同居の場合は、条件付きで住宅ローン控除はOK
親と同居して二世帯で生活している場合は、親が引き続きマイホームに残り、親を除く夫婦・子供で転勤するという状況なら、親子が扶養の関係(経済的に子供が親の生活をみている)にあると認められれば、単身赴任の場合と同様に住宅ローン控除が受けられます。
ただし、親子が別世帯で住んでおり、転勤を機に子供のマイホームへ留守番として親が住みはじめた場合には、住宅ローン控除は適用されません。
2-2.一度も入居することなく家族全員で国内転勤した場合は、住宅ローン控除はNG
売買契約はしたけれどマイホームの引渡しを受ける前に転勤した場合、「マイホームに入居する」という条件を満たしていないため、住宅ローン控除は一切受けられません。以下の2-3で記載しているように転勤が解除され、マイホームへ戻ってきても住宅ローン控除の特別措置も受けられません。控除の一切が受けられません。
しかし、家族全員ではなく単身赴任者のみが転勤し、家族が引渡し後すぐに先行して入居した場合は、単身赴任者が転勤終了後にマイホームへ戻ってくることが確実であれば、住宅ローン控除は適用されます。
2-3.マイホームに住んでいたが家族全員で国内転勤し、その後マイホームに帰ってきて、住宅ローン控除の残りの期間がある場合、住宅ローン控除はOK
当初マイホームに住んでいて、住宅ローン控除を受けていたが、家族全員で転勤のためマイホームに住んでおらず、住宅ローン控除を受けていなかった(住宅ローン減税は「居住者」に限って適用されるため居住していないと控除を受けれません)。
しかし転勤が終了したのでマイホームに戻ってきた。
という人で、残りの控除期間がある場合に限って、住宅ローン控除が復活する特別措置があります。
例えば、
現在(2016年2月時点)の控除期間は入居から10年間です。
最初の2年分の控除を受けてから転勤等で転居し、3年後に戻ってきた場合、残りの期間5年分の控除が再適用されます。
(⇒2015年9月住宅取得、2017年9月までマイホームに住んでいたが、転勤で2017年10月に家族全員で転居、2020年4月にマイホームに戻ってきた。2020年4月~2025年9月まで分を住宅ローン控除が受けれる)
(住宅ローン控除の期間は、あくまでも入居から10年間なので、転勤期間中の分を先送りできません)
2-3-1.申請について
申請が「転勤前」と「転勤から戻った際」に別途必要になるので注意が必要です。
【転勤前の申請】
まず住宅に住まなくなる日までに下記の届出書を所轄税務署長に提出していることが条件になります。
①転勤の命令等に居住しないこととなる旨の届出書
②税務署長から「年末調整のための住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)証明書」及び「給与所得者の住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)申告書」の交付を受けている場合には、その証明書及び申告書の未使用分
【転勤から戻った際の申請】
次に再適用を受ける最初の年分に、住宅ローン控除を受ける金額について記載された確定申告書を提出する必要があります。下記の書類を添付することが必須になります。
①「住宅借入金(取得)等特別控除の計算明細書(再び居住の用に供した人用)」
②「住民票」の写し
③「住宅取得資金にかかる借入金の年末残高等証明書」
なお、下記2-4-(2)で記載しているように、自宅に戻る年に賃貸として貸し出した場合には翌年からの再適用になるので注意してください。
また、再度、確定申告も必要になるようです!
詳細は、税務署に相談してください。
2-4.住宅ローン控除の再適用を受ける際の注意
住宅ローン控除の残り期間があって、マイホームに再び戻ってきたならば控除が最適用されますが、5点注意があります。
(1)転居の理由が会社都合であること
まず重要なのが、転居の理由です。再適用が受けられる場合は、通常の転勤、出向など、会社命令によってやむを得ず転居しなければならない場合です。
もともと転勤や出向の希望を出していたとしても、社命として転任するのであれば問題ありません。しかし、自己都合による転職や、会社が倒産して再就職する場合などは基本的には認められないようです。
(2)自宅に戻る年に賃貸として貸し出した場合はその年は控除が受けられない
再適用する場合、自宅に戻ってきた年の分から住宅ローン控除が復活するようですが、自宅に戻る年に賃貸として貸し出していた場合は、その年の控除は受けられず、翌年からの再適用となるようです。
(3)本人を除いて家族のみ戻ってきた場合も控除の再適用OK
再入居に該当するのは、家族全員が自宅に戻ってきた場合だけでなく、家族のみが自宅に戻ってきた場合もOKです。したがって、夫の転勤先に家族全員で転居した後に、なんらかの事情で家族のみが自宅に戻ってきた場合も、その時点で再入居とみなされ再適用を受けられます。
(4)転居の前に手続きを行うこと
再適用を利用するための手続きとして、転居前に税務署に対して「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を提出する必要があります。そして、再適用を受ける最初の年には確定申告が必要になります。
詳細は上記2-3-1に記載してます。
(5)転居・再入居の回数、転居から再入居までの期間は制限なし
転居・再入居の回数や、転居から再入居までの期間については特段の定めがないようで、短期間かつ複数回にわたって転居や再入居を繰り返しても、要件さえ満たしていれば、再適用が受けられるようです。
3.海外へ単身赴任の場合は、住宅ローン控除はNG
海外への単身赴任については、ローンを受けている本人が非居住者となってしまうため、家族がマイホームに引き続き住んでいても、住宅ローン控除を受けられません。
たとえ日本円で給料が支払われ、日本の所得税を支払っていたとしても、非居住者である限りは控除を受けられません。
ただし、家族が国内に残って持家に住んでいて、単身赴任を終えて帰国した場合、その後の控除期間が残っている場合に限り、年末調整で住宅ローン控除が受けられます。
3-1.一度も入居することなく海外転勤した場合も、住宅ローン控除はNG
一度も入居することなく海外転勤してしまった場合には、国内に家族が残っていても・いなくても住宅ローン減税は一切、受けられません。
「住宅ローン減税を受ける権利」そのものを取得できないからです。よって、帰国後も住宅ローン減税は受けられません。
3-2. マイホームに住んでいたが、家族全員で海外転勤し、その後マイホームに帰ってきて、住宅ローン控除の残りの期間がある場合は、住宅ローン控除はOK
当初マイホームに住んでいて、住宅ローン控除を受けていたが、家族全員で海外転勤のためマイホームに住めず、住宅ローン控除を受けていなかった(住宅ローン減税は「居住者」に限って適用されるため)。
しかし海外転勤が終了し、マイホームに戻ってきた(海外から戻り居住者となった)。
という人で、残りの控除期間がある場合に限って、住宅ローン控除が復活する特別措置があります。
控除の再申請などの内容については、上記の2-3、2-4と同じですのでそちらを参照ください。
3-3.海外転勤中に住宅を取得した場合は、住宅ローン控除はNG
海外勤務中に住宅を購入するなど「非居住者」期間中に住宅を取得した場合には、住宅ローン控除の適用は一切ありません。転勤が解除され、帰国しても適用されることはありません。
海外単身赴任者が住宅を取得した場合も住宅ローン控除の適用は一切ありません。
4.まとめ
住宅ローン控除については非常にややこしい内容のため、記載内容を信じ込まず、必ず一度は税務署にご相談ください。
しかし単身赴任者向けの記事のくせに、単身赴任に関係する項目が1、2-1、3、3-1章の4章のみしか無くて良いのだろうか・・・
※住宅の取得者(住宅所有の名義人) = 転勤者 の前提で書いております。